研究開発センター長からのメッセージ

多様なバックグラウンドを持った
若き優秀な人材が
次世代技術を生み出すカギとなる

執行役員/研究開発センター長

五十嵐 寛 Hiroshi Igarashi

全社員の3割が研究員
多種な人材が
研究開発センターに集結

エヌ・イー ケムキャットの事業の中核を成す「研究開発センター」には、全社員数の3割にあたる研究員が在籍しています。一般的に、社員数1万人を超える大手企業でも研究開発に割く人材は1割程度と言われていますから、当社がいかに研究開発に力を入れているかがおわかりいただけると思います。

「技術は人なり」という言葉があるように、メーカーにとって「どれだけポテンシャルの高い優秀な技術者を揃えられるか」が大切になります。もちろん、当社も同じ考えです。既存の事業を強化するためにも、新規技術や新規事業の開発を進めていくためにも、多様なバックグラウンドを持つ仲間を求めています。実際、研究開発センターには、化学系はもちろん、生物、薬学、農学など、多様な人材が揃っています。研究開発センター長である私は、研究員一人ひとりのポテンシャルを最大限に引き出し、彼らが高いモチベーションをもって開発に取り組めるよう支えていくことが使命だと感じています。

既存事業を強化し、次世代技術を生み出す
2つの軸で、
SDGsの達成に貢献する

現在、当社は既存事業を強化する一方、次世代技術の開発にも注力しています。既存事業の主軸となっているのは自動車触媒と化学触媒で、例えば自動車触媒は長年に渡って国内の自動車メーカーを支えてきた実績があります。また、近年は、自動車メーカー9社を中心に構成された「自動車用内燃機関技術研究組合(AICE)」のコアメンバーとして、その活動に参加しています。自動車業界では、内燃機関のより有効な活用法を探って環境保全に寄与していこうとする動きがあり、当社も自動車触媒のメーカーとして、その一助になれたらと願っています。

一方、当社は国連がSDGsを掲げる以前から、燃料電池の開発に取り組んで参りました。水素に代表される新エネルギーの製造に用いる触媒開発は、今後、世界規模でSDGsを達成する上で不可欠な分野となることでしょう。当社の顧客である自動車メーカーも、新動力源として電力化を進める動きがあり、化学メーカーも製造時におけるCO2排出の削減を強化しています。このように、当社がこれまで蓄積してきた触媒開発のリソースを生かしてSDGsの達成に貢献していくこともまた、研究開発センターの重要なミッションです。

20年以上前から
燃料電池の研究に着手し
“R&D100 Awards” を共同受賞

私自身は学生時代、固体触媒の研究に従事し、総合化学メーカーに就職後、「やはり触媒の研究がしたい」と大学に戻って燃料電池用触媒の開発に携わってきました。その実績を買われて2001年にエヌ・イー ケムキャットに転職して以来、一貫して燃料電池の開発を担当してきました。

入社から20年に渡る道のりを振り返って感じるのは、「経営陣が私たち研究員を応援してくれた」という事実です。今でこそ燃料電池はクリーンなエネルギーとして高い注目を浴びており、製品化も進んでいますが、私が入社した頃はまだ世に知られていませんでした。そのような中、歴代の経営者が「燃料電池用触媒の開発」に大きな価値を感じ、一定の予算を割いてくれたのです。経営陣のサポートがあったからこそ、私は燃料電池の開発に注力することができました。後にアメリカの国立研究所との共同開発により “R&D100 Awards” を受賞し、慣れないタキシードを着て授賞式に参加したのは良い思い出です。

よく見、よく調べ、よく考えよう
これから入社する皆さんに
期待すること

かつて、私が学生だった頃と比べると、最近の若い方々は皆さん優秀で、仕事に向き合う姿勢も高いように思います。当社で活躍する若き研究員たちはいずれもポテンシャルが高く、チャレンジ精神が旺盛です。

研究開発センターでは、上司が若手研究員に仕事の進め方をすべて指示するのではなく、若い皆さんが自分の考えで主体的に研究に取り組んでいけるような体制を整えています。

「よく見、よく調べ、よく考えよう」――これはかつて私が燃料電池開発チームのメンバーに投げかけてきた言葉です。自分でよく見て、よく考えて次のアクションに移ることが大事であり、このような姿勢を持つ研究員が一つのチームを成し、積極的に議論を交わしていけば、ブレイクスルーとなるような新しい技術を生み出すことも夢ではないでしょう。

今、就職活動に取り組んでいる学生の皆さんにも、ぜひ、この言葉を心に留めていただけたらと願っています。そして、学生時代の今こそ、好きなことに打ち込んでください。夢中になってのめり込み、多少苦しくてもやりきった経験が、社会人になってから生きてくることでしょう。希望を持って社会に羽ばたき、皆さんが持つ力を大いに発揮してください。