院生時代の研究テーマは卑金属を用いたガスタービン用触媒燃焼に関する研究。 その流れを汲んで、当社に入社したのが84年のことでした。入社直後は当時の市川研究所で、貴金属を用いたガスタービン用触媒燃焼に関する研究開発に携わり、87年からは沼津事業所で自動車排ガス浄化の触媒の研究開発に従事。その後、主任、主務、技術課長を経て、技術部長に昇格。そして02年から3年間は工場長として製造及び品質保証の業務も経験。06年には自動車触媒技術センター長に。09年からは組織改革により触媒開発センターに統合され、副センター長として自動車触媒部門を担当し、14年から触媒センター長として化学触媒部門および分析技術も加わり、当社の研究部門の統括をしております。この間、印象に残っているのは、やはり若い頃に大きなプロジェクトに関わることができたことです。
その中でも、1990年に始まった0.25HC(炭化水素)規制強化に対応する触媒開発プロジェクトが一番の思い出です。当初は他社より性能が劣っており、苦しい日々が続きましたが、必死に開発に当たると共に、会社側からも車輌評価設備導入という大型投資のサポートを頂き、最後の3ヵ月で逆転勝利。粘って粘った結果、会社の命運をかけた大きなプロジェクトを成功させることができました。一方、技術的には、現在市場で主流となっているセリウム/ジルコニウム系複合酸化物を見い出し、特許化できたことが印象に残っています。この材料は、当社が世界に先駆けて市場導入し、環境浄化に大きく貢献すると共に、当社ビジネスの発展にも大きく寄与しました。